I love Yamagata.コグチ(@ilv_co)です。
先日、市内で開かれた不動産研修会に行ってきました。
いま現在、賃貸住宅に住んでいるという方に役立つ内容だったので、ここでご紹介します。
法定講習
この講習会は、宅建業者が所属する宅地建物取引業保証協会が定期的に開催する研修です。
(宅地建物取引業に関する研修)
第64条の6 宅地建物取引業保証協会は、一定の課程を定め、取引主任者の職務に関し必要な知識及び能力についての研修その他宅地建物取引業の業務に従事し、又は従事しようとする者に対する宅地建物取引業に関する研修を実施しなければならない。
宅建業者は定期的に開催されるこうした研修会に参加しています。
少し早く会場に着いたので席もガラガラです。
今回のテーマは
『建物の賃貸借をめぐるトラブルと解決のポイント』
講師は「(財)不動産適正取引推進機構」の方でした。
一般財団法人不動産適正取引推進機構
(財)不動産適正取引推進機構は、
『不動産取引に関する紛争の未然防止を図るとともに、適正かつ迅速な処理を推進して、消費者の保護と宅地建物取引業の健全な発展に寄与すること』
を目的として作られた組織で、不動産に関する様々なトラブルの相談窓口になっています。
今回の研修は、ここに寄せられたトラブル相談の事例から、トラブルにならないためのポイントを学ぶというものでした。
設備のトラブル!まずは大家さん(管理会社)に連絡を!!
事例を1つご紹介します。
事例
賃貸住宅(一戸建て)に住むAさん。
ある日、借りている家の配水管に不具合を見つけました。
たまたまAさんの知り合いに設備業者がいたので、Aさんはその知り合いに修理を依頼しました。
修理が終わり、設備業者はお金を払ってもらうためにAさんに請求書を渡しました。
すると
「本来修繕の義務があるのは大家さん。
大家さんの代わりに私が修繕の依頼をしただけだから、
請求書は大家さんに渡してください」
と言われました。
そこで設備業者は大家さんに請求書を持っていきます。
困ったのは大家さん。
Aさんからは「配水管に不具合があること」や
「設備業者に修理の依頼をすること」は何も聞いていませんでした。
設備業者の請求書を見てみるとその額、9万円。
後日、大家さんがいつも工事を頼んでいる設備業者から見積りをとったところ、同じ修理をした場合に6万3千円で済むことが分かりました。
そこで、この大家さんは『(財)不動産適正取引推進機構』に電話をします。
「大家の私に修繕義務があることは承知している。
しかし、修理費として本来かかるはずだった6万3千円以上は払うつもりはない。
私の考えは間違っているか。」
皆さんはどう思いますか?
実はこれ、
「大家さんは6万3千円どころか全くお金を払う必要はない」
というのが正解です。
解説
大家さんが言うように、貸主には修繕義務が民法で定められています。
賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をする義務を負う(法606条1)
そして借主には、費用の償還請求が同じく民法で定められています。
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる(法608条1)
これだけを見ると、大家さんはAさんにお金を払う必要があるように思いますよね。
でも上の条文を良く読むと、「必要費を支出したときは」と書いています。
Aさんはお金を払っていません。設備業者に依頼しただけです。
修理工事については、あくまでもAさんと修理業者との請負契約に関するもので大家さんは全く関係ないわけです。
さらには、賃貸借契約には貸主だけではなく借主にも義務が定められています。
それが、通知義務です。
賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張するものがあるときは、借主は、遅滞なくこれを貸主に通知しなければならない。ただし、貸主がこれを知っているときは、この限りではない(法615条)
Aさんは配水管のトラブルを見つけた時点で大家さんにその旨を伝える必要があったわけで、
それをしなかったAさんは「通知義務違反」となります。また、大家さんの所有物を勝手に工事してしまったことも問題です。
実際
電話を受けた『(財)不動産適正取引推進機構』は、以上のことを大家さんに伝えた上で、
大家さんの考えは間違っていないということ、6万3千円をAさんに支払って解決するということは悪くない、ということを話したそうです。
法的な解釈で優劣がつく事柄でも、実際にそれをはっきりさせようとすると、法定で争うことになります。
法律はいろいろ複雑ですが、実務はさらに複雑です。。
ちなみに
研修終了の証。※写真ではmacに貼っているように見えますが置いているだけですよ。
それでは。I love Yamagata.コグチ(@ilv_co)でした。
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