こんにちは。山形の税理士、林です。
今回のご相談内容はこちらです。
【相談内容】
住宅ローンを組んで住宅を購入しようと検討している甲野太郎(仮名)と申します。
「住宅ローン控除」を使ったら、私の場合、どれくらい税金が安くなるのか試算してみたいです。
住宅ローン控除額の具体的な計算方法を教えてください。
税理士 林の回答
個人が、住宅の新築もしくは取得をして、2021年(令和3年)12月31日までの間に住居として使用した場合、一定の要件を満たすときは、その居住年から10年間、年末の住宅ローン残高に応じて毎年一定の金額を所得税額から減額できます。
この仕組みを「住宅ローン控除」と言います。
かんたんに要約すると、住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、その後10年間、所得税・住民税を安くできるという制度です。
それでは以下に、平成30年分の源泉徴収票を使って、甲野太郎さんの住宅ローン控除額の具体的な計算方法を解説します。
「住宅ローン控除額」の計算例 (概算)
前提条件
甲野太郎さんは、新築の建売住宅(床面積165㎡)を購入し、直ちに、自己の居住用にした。(一般の住宅とします。)
- 売買契約書の金額 2,500万円(土地1,250万円、建物1,250万円)
- 自己資金 700万円
- 住宅ローン 当初1,800万円(年末残高は1,750万円)
- 令和元年(2019年)分の源泉徴収票は平成30年分と同じと仮定
計算方法
甲野さんの住宅ローンの年末残高は 1,750万円 です。・・・(A)
年末残高の最高限度額は 4,000万円 です。 (国税庁HPを参照)・・・(B)
この(A),(B)どちらか少ない方の金額を基準に住宅ローン控除額を計算します。
甲野さんの場合は(A)1,750万円が基準となり、1年目は1%が控除される (国税庁HPを参照) ので、
計算すると住宅ローン控除額は、 1,750万円✕1%= 175,000円という金額になります。
しかし175,000円が必ずしも減税されるとは限りません。この金額は、あくまでも最大値。
では、実際にいくら控除されるのか、具体的な所得税・住民税の減税効果は以下の通りです。
源泉徴収票から実際の減税額を計算
住宅ローン控除で減額されるのは、所得税と住民税の2つです。
「平成30年分 給与所得の源泉徴収票」に書いてある「源泉徴収税額」67,300円が甲野さんが平成30年中に納めている所得税額です。
納めている税額を超えて減額(税金の還付)を受けることはできません。
と言うことは、住宅ローン控除で減額できる所得税の上限は67,300円と分かります。
これに加えて、所得税で減額しきれなかった控除額107,700円(175,000円-67,300万円)は住民税から減額できる可能性があります。
住民税の減税額は次の3ステップで求めます。
- 所得税から住宅ローン控除できない残額を求める
- 所得税が課税される所得金額を求め、これに7%かける
- 1と2を比べて、小さいほうが減税額となる
では実際に、住民税の減税効果を計算してみます。
ローン控除できる住民税の計算式
住宅ローン控除額の残額
175,000円(住宅ローン控除額)-67,300(所得税からの減税額)=107,700円 (A)
所得税が課税される所得金額
2,820,000円(給与所得控除後の金額)-739,476円(社会保険料等の金額)
-380,000円(配偶者控除)-380,000円(基礎控除)
=1,320,524円→1,320,000円(千円未満切捨て)
所得税が課税される所得金額✕7%(最高136,500円)
1,320,000円✕7%=92,400円(B)
(A)、(B)いずれか小さい方が住民税の減税額なので、92,400円が住民税の減税額となります。
まとめ
以上、計算してみると、甲野さんの場合、
所得税は67,300円安くなり、住民税は92,400円安くなることが分かりました。
175,000円にはなりませんでしたが、 1年あたり合計159,700円も税金が安くなるわけです。
また年々減税額は少なくなりますが、住宅ローン控除の効果は10年にわたります。
住宅ローン控除の減税効果はとても大きなメリットであるといえます。
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